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妊娠がわかった喜びの裏側で、突然やってくる吐き気。
「朝起きた瞬間から気持ち悪くて、何も食べられない」「においを嗅ぐだけで吐き気がこみあげてくる」…そんな毎日が続いていませんか?
つわりは、妊婦さんの50〜80%が経験するといわれています。決して珍しいことではありませんが、実際に体験してみると想像以上につらいものです。
この記事では、産婦人科専門医の立場から、妊娠初期の吐き気・つわりの原因とピーク時期、そして「吐きつわり」「食べつわり」「においつわり」など症状別の対処法を詳しく解説します。
「どうすれば少しでも楽になるのか」を一緒に考えていきましょう。
妊娠初期のつわりでお悩みの方へ
東京都新宿区でつわりや妊娠中の体調変化について相談したい方は、あゆみレディースクリニック高田馬場へご相談ください。
症状の程度や生活状況に合わせながら、無理のない対処法をご案内しています。
妊娠初期の吐き気(つわり)はなぜ起こるの?
つわりの原因は、まだ完全には解明されていません。
ただ、現在有力とされているのは、妊娠初期に急速に増加するhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの影響です。このhCGが脳の嘔吐中枢を刺激することで、吐き気や嘔吐が引き起こされると考えられています。
また、プロゲステロン(黄体ホルモン)の増加も関係しています。
プロゲステロンは消化器官の動きを鈍らせる作用があり、胃のむかつきや消化不良感につながります。さらに、妊娠への不安やストレスが自律神経のバランスを乱し、つわりの症状を悪化させることもあります。
近年の研究では、GDF15(成長分化因子15)というホルモンとの関連も注目されています。
英ケンブリッジ大学の研究によれば、胎盤から分泌されるGDF15の量と、母体がそのホルモンに対してどれだけ敏感かが、つわりの重症度に直接関係していることが明らかになりました。つわりの原因解明に向けた研究は、今もなお進んでいます。
ビタミンB6の不足もつわりを悪化させる要因のひとつとされており、米国では妊娠中のビタミンB6摂取が推奨されています。

つわりはいつからいつまで続く?ピーク時期を知ろう
「いつ終わるの?」これが、つわりに苦しむ妊婦さんの一番の疑問です。
一般的に、つわりは妊娠5〜6週目頃から始まります。そして多くの妊婦さんが妊娠8〜10週目頃に最もつらいピークを迎え、妊娠16週(安定期)頃には自然と落ち着いてくることが多いです。
ただし、個人差はとても大きいです。
「妊娠5週からすでにつらい」という方もいれば、「安定期を過ぎても続いている」という方もいます。また、まったくつわりを経験しない方もいます。つわりの有無や程度は、妊娠経過とは直接関係ありません。つわりがないからといって、赤ちゃんが元気でないわけではないので、安心してください。
「つわりがないと不安」という声をよく聞きますが、つわりの有無は妊娠の順調さとは無関係です。次の健診まで、どうかリラックスして過ごしてください。
つわりの症状は人それぞれです。吐き気・嘔吐だけでなく、倦怠感、よだれの増加、強い眠気、においへの過敏さなど、さまざまな形で現れます。

症状別・つわりの対処法
つわりには、大きく3つのタイプがあります。
自分の症状がどのタイプに近いかを把握することで、より効果的な対処ができます。複数のタイプが重なって出る方も少なくありません。
吐きつわり…とにかく吐き気がつらい方へ
吐きつわりは、食事に関係なく吐き気が続き、実際に嘔吐してしまうタイプです。
まず最優先すべきは水分摂取です。食事が食べられなくても、脱水だけは防がなければなりません。水やお茶が飲みにくい場合は、経口補水液やスポーツドリンクで電解質も一緒に補いましょう。
食事については、「食べられるものを、食べられるタイミングで、少量ずつ」が基本です。
- 温かいものよりも冷たくてさっぱりしたものが食べやすい傾向があります
- のど越しのよいもの(ゼリー、アイスキャンディー、冷たい麺類など)を試してみましょう
- 氷やアイスキャンディーから水分・糖分を摂取するのも有効です
- 口の中をすっきりさせたいときは、酸味のあるあめやミント系のタブレットが助けになります
- 歯磨きがつらい場合は、口をゆすぐだけでも構いません。洗口液などをうまく活用しましょう。
栄養バランスが気になる方には、サプリメントの活用もおすすめです。特にビタミンB6は吐き気を抑える効果があるとされており、つわりの症状緩和が期待できます。
「この時期は無理して食べなくても、赤ちゃんはちゃんと成長しています」…これは、つわりに苦しむ妊婦さんに、ぜひ伝えたい言葉です。自分を責めないでください。
食べつわり…何か食べていないと気持ち悪い方へ
食べつわりは、空腹になると吐き気が強まるタイプです。
「食べると楽になるから、ついつい食べすぎてしまう」という悩みもよく聞きます。体重管理が気になる気持ちはわかりますが、まずは空腹を避けることを優先してください。
- 1日5〜6回に分けて少量ずつ食べるようにしましょう
- すぐに食べられる一口サイズのおにぎり、クラッカー、あめなどを常に手元に置いておくと安心です
- 朝は血糖値が下がりやすいため、起き上がる前にベッドサイドに軽食を用意しておくのも効果的です
- 体重が急激に増加してしまった場合は、タンパク質中心・低カロリーのものに切り替えて見ましょう。口に入れておくために小魚やおしゃぶり昆布、ガムなどカロリーの少ないものなどをうまく活用するのも一つの方法です。ただし、キシリトールガムは食べすぎるとお腹がゆるくなりやすいなどもあるので、ガムや昆布などは食べすぎには注意して下さい。「甘いものやお菓子でも構わない」…そう割り切ることも、つわりの時期には大切です。食べられるものを食べることが、今は最優先です。
においつわり…特定のにおいで気分が悪くなる方へ
においつわりは、妊娠前は何ともなかったにおいが急に苦手になるタイプです。
炊きたてのごはんの香り、調理中の油のにおい、柔軟剤の香り…「こんなものまで?」と驚くほど、さまざまなにおいが引き金になります。
- マスクの着用が有効です。においを軽減するだけでなく、精神的な安心感にもつながります
- 温かい食べ物はにおいが強く出るため、少し冷ましてから食べるようにしましょう
- 苦手なにおいの発生源(調理中の鍋のそばなど)からはなるべく距離を置きましょう
- 換気をこまめに行い、室内のにおいがこもらないようにしましょう
- パートナーや家族に調理をお願いすることも、遠慮せずに伝えてみてください
「においが気になって料理ができない」というのは、怠けているわけでも、わがままでもありません。
つわりは、れっきとした体の変化です。周囲にも理解してもらえるよう、遠慮なく伝えましょう。料理が難しい時はお惣菜などを活用し、無理なく過ごしましょう。

よだれつわり・その他の症状への対処法
つわりは、吐き気や嘔吐だけではありません。
「よだれが大量に出て、飲み込むのもつらい」という「よだれつわり」に悩む方も少なくありません。自分の唾液でさえ気分が悪くなってしまうため、日常生活への影響が大きいのが特徴です。
よだれつわりへの対処としては、以下の方法が助けになります。
- ティッシュペーパーやタオル、空のペットボトルなどを常に持ち歩き、いつでも吐き出せる準備をしておく
- 酸味のあるあめやガムで口の中の不快感を和らげる
- こまめに口をゆすぐ
また、強い眠気もつわりの一症状です。無理に起きていようとせず、眠れるときに休むことを優先してください。
「家事ができない」「仕事に行けない」…つわりの時期は、そんな状況になることも珍しくありません。
パートナーや職場の上司に状況を伝え、できる範囲でサポートをお願いすることも大切です。一人で抱え込まないでください。

日常生活でできるつわり軽減のポイント
症状別の対処に加えて、日常生活全体で意識したいポイントをまとめます。
服装・環境を整える
体を締め付ける服装は、吐き気を悪化させることがあります。
ゆったりとした服装で過ごすことを心がけましょう。ウエストのゴムがきつい服や、タイトなボトムスは避けるのが無難です。また、室温が高すぎたり、空気がこもっていたりする環境もつわりを悪化させる要因になります。こまめな換気と、快適な室温の維持を意識してください。
十分な休息をとる
疲労や睡眠不足は、つわりの症状を悪化させます。
「少し横になるだけでも楽になった」という声はとても多いです。家事や仕事は完璧にこなそうとせず、休める時間を意識的に作りましょう。
ストレスをためない
精神的なストレスは自律神経のバランスを乱し、つわりを悪化させる可能性があります。
「赤ちゃんのために頑張らなければ」というプレッシャーを感じすぎないことも大切です。つらい気持ちを一人で抱え込まず、パートナーや家族、友人に話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。
水分補給を忘れずに
嘔吐が続くと、脱水状態になるリスクがあります。
水やお茶が飲みにくい場合は、経口補水液やスポーツドリンクを少量ずつ摂取しましょう。炭酸水が口をすっきりさせて吐き気を和らげるという方もいます。自分が飲みやすいものを見つけることが大切です。
つわり症状の対策を確認したい方へ
吐き気や食欲不振など妊娠初期症状について相談したい方は、東京都新宿区のあゆみレディースクリニック高田馬場へご相談ください。
食事や日常生活の工夫も含めながら、体調に合わせたサポートをご提案しています。

「妊娠悪阻」に注意!こんな症状があればすぐに受診を
つわりの症状が重くなると、「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という状態になることがあります。
妊娠悪阻は、脱水症状を伴う重篤なつわりのことです。妊婦全体の1〜2%程度に見られます。
以下のような症状がある場合は、我慢せずにすぐに医療機関を受診してください。
- 水分がまったく摂れない
- 1日中嘔吐が続いている
- 妊娠前の体重から5%以上減少した
- 激しいめまいがある
- 尿の量が極端に減った
妊娠悪阻と診断された場合は、点滴による水分・電解質・ビタミンB1・B6などの補給が行われます。症状によっては入院が必要になることもあります。
また、産婦人科では吐き気止め(制吐剤)やビタミンB6製剤、漢方薬(小半夏加茯苓湯、半夏厚朴湯など)を処方することができます。市販の吐き気止めや酔い止め薬は、妊婦のつわりへの使用は推奨されていません。自己判断での服用は避け、必ずかかりつけの産婦人科医に相談してください。
「これくらいで受診していいのかな?」と思う必要はありません。つらいと感じたら、遠慮なく相談してください。
まとめ|つわりはひとりで抱え込まないで
妊娠初期の吐き気・つわりは、多くの妊婦さんが経験するものです。
症状のピークは妊娠8〜10週頃で、多くの場合は妊娠16週頃には落ち着いてきます。ただし、個人差があることを忘れないでください。
症状別の対処法をまとめると、次のようになります。
- 吐きつわり…水分補給を最優先に。冷たくさっぱりしたものを少量ずつ。ビタミンB6の摂取も有効
- 食べつわり…空腹を避け、1日5〜6回に分けて少量ずつ食べる
- においつわり…マスクの着用、食べ物を冷ましてから食べる、換気を徹底する
- よだれつわり…吐き出せる容器を常に携帯し、口をこまめにゆすぐ
「我慢するのが当たり前」ではありません。
症状がつらいとき、水分が摂れないとき、体重が大きく減ってしまったとき…そんなときは、一人で抱え込まずに産婦人科に相談してください。
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妊娠初期のつわりをはじめ、月経痛・生理不順・PMS・更年期症状など、女性特有のお悩みに幅広く対応しています。
あゆみレディースクリニック高田馬場は、高田馬場駅から徒歩1分という通いやすい場所にある産婦人科クリニックです。女性医師と助産師が常駐しているため、妊娠中のマイナートラブルにも安心です。産婦人科クリニックです。女性医師と助産師が常駐しているため、妊娠中のマイナートラブルにも安心です。「こんなこと相談していいのかな?」と思うような小さな不安でも、気軽に話せる雰囲気を大切にしています。思春期から更年期以降まで、ライフステージごとのお悩みに寄り添った診察を提供しています。
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妊娠中の体調変化を相談したい方へ
東京都新宿区でつわりや妊娠初期の不調について相談したい方は、あゆみレディースクリニック高田馬場へご相談ください。
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著者情報

院長 佐藤 歩美
経歴
横浜市立大学医学部 卒業
NTT東日本関東病院 勤務
総合母子保健センター 愛育病院 勤務
ベビースマイルレディースクリニック有明 副院長などを経て 現在に至る
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本周産期・新生児医学会 周産期(母体・胎児)専門医
女性医学学会 女性ヘルスケア専門医
日本性感染症学会 認定医
日本抗加齢医学会 認定医
日本医師会 認定産業医




