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HPVワクチン

HPV Vaccine

HPVワクチン|東京の産婦人科 - あゆみレディースクリニック高田馬場

HPV Vaccine

HPVワクチン

子宮頸がんとは

子宮頸がんは、性交渉で子宮頸部(子宮の入り口)にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することでできるがんです。
日本における子宮頸がん発症数:年間約10000人、死亡者数:年間約2900人であり、患者数・死亡数ともに増加傾向にあります。
なかでも20-40歳代で罹患が増加し、出産年齢と重なることから、ライフイベントに様々な影響を及ぼす疾患です。子宮頸がんとなり大きな手術や放射線・化学療法が必要となり、その後妊娠・出産を断念することになったり、進行すれば死に至ることもあります。子宮頸がんにまで至らなかったとしても、前段階である異形成のため定期的な通院が必要となったり、円錐切除術が必要となり妊娠時に切迫早産や早産のリスクが上昇したりと、生涯を通じて疾病負担が大きい疾患です。
日本での子宮頸がん増加は、HPVワクチン接種率の低さ・子宮頸がん検診受診率の低さが影響していると考えられます。
一方、先進諸国ではHPVワクチン接種率の上昇と共に、子宮頸がん罹患率・死亡率ともに減少してきています。

子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。HPVは性的接触で感染します。HPVはありふれたウイルスで、あるデータでは性交渉経験のある女性の84.6%が一生に一度は感染すると推計されています。HPVは感染しても大半が無症状のまま不顕性感染の状態ですので、自分でも気づかないうちに他者へ感染させてしまうリスクがあるのです。
HPVには200種類以上の『型』があり、がんとの関連性から高リスク型と低リスク型に大別されます。HPVに感染しても必ずがんになるわけではなく、その多くはご自身の免疫でウイルスが排除されますが、一部のウイルスが持続感染することで数年から十数年経て、異形成を経て子宮頸がんへと進行していきます。

正常細胞→CIN1(軽度異形成)→CIN2(中等度異形成)→CIN3(高度異形成・上皮内癌)→浸潤癌(子宮頸がん)

HPVワクチンとは

HPVワクチンには2価、4価、9価の3種類があります。
9価ワクチンは、日本では2021年2月に接種可能となり、2023年4月から公費対象となりました。
HPVワクチンは世界130か国以上で承認され、約110か国で公費による接種が行われています。
オーストラリアやイギリスなどでは8-9割の接種率を達成し、子宮頸がんだけでなく、前段階のCINも減少に転じています。

日本における浸潤子宮頸がんのHPV分布:

  • 16+18型:約65%
  • 16・18・31・33・45・52・58型の7種類:約90%

ワクチン接種回数について

15歳未満

■シルガード9:2回接種もしくは3回接種を選択可能です

すでに多くの諸外国では9-14歳の2回接種が行われおり、有効性が確認されています。
2回接種の場合、2回目は初回から6~12か月後となるので注意が必要です。

■シルガード9の接種回数と接種間隔

接種回数

■ガーダシル:3回接種(初回、2か月後、6か月後)

15歳以上

ガーダシル・シルガード9ともに3回接種:初回、2か月後、6か月後

キャッチアップ接種について

積極的な接種勧奨差し控えのために接種機会を逃した方のため、2022年4月からキャッチアップ接種が行われています。

期間 2025年3月末日まで
対象者 平成9年度以降生まれ(1997年4月2日以降生まれ)
かつ、過去にHPVワクチンを3回接種していない方
  • 予診票は2022年に既に配布されています。紛失した方や転居などで居住地が変更した方は、再度予診票の申請が必要です。
    お住まいの行政へ問い合わせください。
  • 2023年4月から、キャッチアップ接種の対象ワクチンにもシルガード9が追加されました。
    予診票にはサーバリックス・ガーダシルしか記載はありませんが、シルガード9を選択いただく事も可能です。

交互接種について

1,2回目にサーバリックスもしくはガーダシルを接種した方が、残りの回数をシルガード9に変更して接種することも可能です(交互接種)。
基本的には同じワクチンを3回接種することが推奨されておりますが、交互接種による安全性は問題なく、6/11/16/18型の免疫獲得に対して不利益はないとされております。

HPVワクチン接種の費用・効果

当院ではガーダシル(4価)とシルガード(9価)の2種類を取り扱っております。

  • サーバリックス(2価)の取り扱いはありませんので、ご了承ください。

公費の場合は追加費用は不要です。行政からの予診票を忘れずに持参ください。
自費の場合、初再診料などを含め、下記金額となります。

ガーダシル(4価ワクチン) 1回 18,000円
シルガード9(9価ワクチン) 1回 28,000円

ワクチンの副反応

このワクチンは筋肉注射となります。上腕や大腿の筋肉内に接種を行います。
頻度の高い副反応は、注射部位の痛み・発赤・腫れです。
全身状態では、ふらつき・失神・嘔気・頭痛がありますが、これらは他のワクチンと比較しても特に頻度が高いものではありません。
また、思春期女性を対象とするため、もともと血管迷走神経反射による失神などが起こりやすい状況です。そのため、接種時には背もたれのある場所での接種を行い、接種後観察時間を設けております。
アナフィラキシーは100万接種あたり約3例と報告されており、特に多いものではありません。

HPVワクチンの男性への接種について

HPVは女性の子宮頸がんだけでなく、咽頭がん・肛門がんなどにも関与していることが分かってきています。喫煙率が下がってきているにも関わらず、性行動の変化もありHPV関連咽頭がんは増加傾向にあり問題となっています。
そのため、オーストラリア・アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツなどでは、男性・女性両方の接種が行われております。
男性の疾患予防・全体としての集団免疫の両方の観点からも、男性への接種は有用だと考えます。
現在、日本で男性への適応が通っているHPVワクチンはガーダシル(4価)のみです。
また、男性へのHPVワクチン接種は全国的には公費対象となっておりませんが、一部の自治体では助成が始まっております。
当院では男性への接種も行っております(ガーダシル・自費となります)。
未成年の場合は保護者同伴で来院ください。

HPVワクチン接種の流れ

1

WEB/LINE/電話で、ワクチンのご予約をお取りください。

2

公費での接種(定期接種・キャッチアップ接種)を希望される場合は、予め予診票をお読みいただき、有効期限・接種回数が間違いないか確認ください。2回目以降の接種の場合は前回までの接種日時を記載ください。
自費での接種を希望される場合はWEB問診から【予防接種予診票】を選択いただき、来院前の入力をお願いします。

3

未成年の方は保護者と一緒にご来院ください。保護者の同席が難しい場合は予診票の保護者が同伴しない場合の保護者自署欄に署名を入れ、別紙の予防接種同意書を記入し持参ください。

4

来院後、医師から問診があります。HPVワクチン接種について質問などあれば気兼ねなくお聞きください。

5

接種は筋肉注射となります。肩が出しやすい洋服での来院をお勧めします。

6

接種後は初回は30分程度、2回目以降は15分程度院内で経過観察をしたのち帰宅となりますので、時間に余裕をもってご来院ください。

  • 23区内の公費予診票が利用可能です。全額公費負担であり、基本的に窓口負担はありません。23区外の公費予診票の利用については、それぞれの市区町村によって手続きが異なりますので、まずは住民登録のある市区町村に問い合わせください。

よくある質問

健康保険は使えますか?
ワクチンは全て自費となります。公費助成のある場合は行政からの予診票を持参ください。
1回目もしくは2回目接種の後、期間があいてしまったらどうすればいいですか?
初回から打ち直しをする必要はありません。残りの回数を接種してください。
何歳まで接種が出来ますか?
HPVワクチンの定期接種は小学6年から高校1年までですが、高校2年以上になっても有効です。HPVは性交渉で感染するため、初めての性交渉よりも前に接種するのが最も有効です。性交渉経験がある方でもワクチンが対応する全てのHPVジェノタイプに既に感染している可能性はほぼないので、新たなHPV型への感染を予防するという意味で有効であり、アメリカでは26歳までの接種を推奨しています。しかし、それ以上の年齢でも個々のライフスタイルによってその効果は異なりますので、個別にご相談ください。また、ある海外データでは45歳までの接種はHPVワクチンの効果が認められたと報告されているものがあります。添付文書では接種年齢の上限は記載されていません。
妊娠中・授乳中に接種はできますか?
妊娠中・授乳中は接種できません。接種途中で妊娠した場合は、出産・卒乳後に残りの回数を接種しましょう。
接種するかどうか、どのHPVワクチンを接種するか相談できますか?
来院後、医師と相談してから接種の有無・どのワクチンにするのかを決めて頂くことも可能です。
HPVワクチン接種した後は、子宮頸がん検診は必要ですか?
必要です。全ての子宮頸がんを予防できるわけではないので、20歳を過ぎたら子宮頸がん検診を定期的に受けてください。
ワクチンで既に感染のしているHPVの治療ができますか?
ワクチン接種に既感染しているHPVを排除する効果はありません。ただし、ワクチンに含まれている全てのウイルスジェノタイプに感染している方はほぼいないため、既感染がある方でもワクチン接種の有用性はあると考えます。
男性でも接種はできますか?
現在、男性への接種が承認されているのは4価のガーダシルのみです。一部の地域では男性のHPVワクチンに助成が始まっていますが、残念ながら現時点では大部分の自治体では自費接種となります。当院では男性への接種も積極的に行なっています。