HPVワクチンには2価、4価、9価の3種類があります。
9価ワクチンは、日本では2021年2月に接種可能となり、2023年4月から公費対象となりました。
HPVワクチンは世界130か国以上で承認され、約110か国で公費による接種が行われています。
オーストラリアやイギリスなどでは8-9割の接種率を達成し、子宮頸がんだけでなく、前段階のCINも減少に転じています。
日本における浸潤子宮頸がんのHPV分布:
- 16+18型:約65%
- 16・18・31・33・45・52・58型の7種類:約90%
HPVワクチン
HPV Vaccine
HPV Vaccine
子宮頸がんは、性交渉で子宮頸部(子宮の入り口)にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することでできるがんです。
日本における子宮頸がん発症数:年間約10000人、死亡者数:年間約2900人であり、患者数・死亡数ともに増加傾向にあります。
なかでも20-40歳代で罹患が増加し、出産年齢と重なることから、ライフイベントに様々な影響を及ぼす疾患です。子宮頸がんとなり大きな手術や放射線・化学療法が必要となり、その後妊娠・出産を断念することになったり、進行すれば死に至ることもあります。子宮頸がんにまで至らなかったとしても、前段階である異形成のため定期的な通院が必要となったり、円錐切除術が必要となり妊娠時に切迫早産や早産のリスクが上昇したりと、生涯を通じて疾病負担が大きい疾患です。
日本での子宮頸がん増加は、HPVワクチン接種率の低さ・子宮頸がん検診受診率の低さが影響していると考えられます。
一方、先進諸国ではHPVワクチン接種率の上昇と共に、子宮頸がん罹患率・死亡率ともに減少してきています。
子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。HPVは性的接触で感染します。HPVはありふれたウイルスで、あるデータでは性交渉経験のある女性の84.6%が一生に一度は感染すると推計されています。HPVは感染しても大半が無症状のまま不顕性感染の状態ですので、自分でも気づかないうちに他者へ感染させてしまうリスクがあるのです。
HPVには200種類以上の『型』があり、がんとの関連性から高リスク型と低リスク型に大別されます。HPVに感染しても必ずがんになるわけではなく、その多くはご自身の免疫でウイルスが排除されますが、一部のウイルスが持続感染することで数年から十数年経て、異形成を経て子宮頸がんへと進行していきます。
正常細胞→CIN1(軽度異形成)→CIN2(中等度異形成)→CIN3(高度異形成・上皮内癌)→浸潤癌(子宮頸がん)
HPVワクチンには2価、4価、9価の3種類があります。
9価ワクチンは、日本では2021年2月に接種可能となり、2023年4月から公費対象となりました。
HPVワクチンは世界130か国以上で承認され、約110か国で公費による接種が行われています。
オーストラリアやイギリスなどでは8-9割の接種率を達成し、子宮頸がんだけでなく、前段階のCINも減少に転じています。
日本における浸潤子宮頸がんのHPV分布:
■シルガード9:2回接種もしくは3回接種を選択可能です
すでに多くの諸外国では9-14歳の2回接種が行われおり、有効性が確認されています。
2回接種の場合、2回目は初回から6~12か月後となるので注意が必要です。
■シルガード9の接種回数と接種間隔
■ガーダシル:3回接種(初回、2か月後、6か月後)
ガーダシル・シルガード9ともに3回接種:初回、2か月後、6か月後
積極的な接種勧奨差し控えのために接種機会を逃した方のため、2022年4月からキャッチアップ接種が行われています。
期間 | 2025年3月末日まで |
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対象者 | 平成9年度以降生まれ(1997年4月2日以降生まれ) かつ、過去にHPVワクチンを3回接種していない方 |
1,2回目にサーバリックスもしくはガーダシルを接種した方が、残りの回数をシルガード9に変更して接種することも可能です(交互接種)。
基本的には同じワクチンを3回接種することが推奨されておりますが、交互接種による安全性は問題なく、6/11/16/18型の免疫獲得に対して不利益はないとされております。
当院ではガーダシル(4価)とシルガード(9価)の2種類を取り扱っております。
公費の場合は追加費用は不要です。行政からの予診票を忘れずに持参ください。
自費の場合、初再診料などを含め、下記金額となります。
ガーダシル(4価ワクチン) | 1回 18,000円 |
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シルガード9(9価ワクチン) | 1回 28,000円 |
このワクチンは筋肉注射となります。上腕や大腿の筋肉内に接種を行います。
頻度の高い副反応は、注射部位の痛み・発赤・腫れです。
全身状態では、ふらつき・失神・嘔気・頭痛がありますが、これらは他のワクチンと比較しても特に頻度が高いものではありません。
また、思春期女性を対象とするため、もともと血管迷走神経反射による失神などが起こりやすい状況です。そのため、接種時には背もたれのある場所での接種を行い、接種後観察時間を設けております。
アナフィラキシーは100万接種あたり約3例と報告されており、特に多いものではありません。
HPVは女性の子宮頸がんだけでなく、咽頭がん・肛門がんなどにも関与していることが分かってきています。喫煙率が下がってきているにも関わらず、性行動の変化もありHPV関連咽頭がんは増加傾向にあり問題となっています。
そのため、オーストラリア・アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツなどでは、男性・女性両方の接種が行われております。
男性の疾患予防・全体としての集団免疫の両方の観点からも、男性への接種は有用だと考えます。
現在、日本で男性への適応が通っているHPVワクチンはガーダシル(4価)のみです。
また、男性へのHPVワクチン接種は全国的には公費対象となっておりませんが、一部の自治体では助成が始まっております。
当院では男性への接種も行っております(ガーダシル・自費となります)。
未成年の場合は保護者同伴で来院ください。
1
WEB/LINE/電話で、ワクチンのご予約をお取りください。
2
公費での接種(定期接種・キャッチアップ接種)を希望される場合は、予め予診票をお読みいただき、有効期限・接種回数が間違いないか確認ください。2回目以降の接種の場合は前回までの接種日時を記載ください。
自費での接種を希望される場合はWEB問診から【予防接種予診票】を選択いただき、来院前の入力をお願いします。
3
未成年の方は保護者と一緒にご来院ください。保護者の同席が難しい場合は予診票の保護者が同伴しない場合の保護者自署欄に署名を入れ、別紙の予防接種同意書を記入し持参ください。
4
来院後、医師から問診があります。HPVワクチン接種について質問などあれば気兼ねなくお聞きください。
5
接種は筋肉注射となります。肩が出しやすい洋服での来院をお勧めします。
6
接種後は初回は30分程度、2回目以降は15分程度院内で経過観察をしたのち帰宅となりますので、時間に余裕をもってご来院ください。