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妊娠中のRSウイルスワクチン接種は必要?アブリスボの効果と安全性を徹底解説

妊娠中のRSウイルスワクチン接種は必要?アブリスボの効果と安全性を徹底解説|【公式】あゆみレディースクリニック高田馬場 | 産科・婦人科

妊娠中のRSウイルスワクチン接種は必要?アブリスボの効果と安全性を徹底解説|【公式】あゆみレディースクリニック高田馬場 | 産科・婦人科

妊娠中のRSウイルスワクチン接種が注目される理由

妊娠中の方にとって、生まれてくる赤ちゃんの健康は何よりも大切ですよね。

RSウイルス感染症は、新生児や乳児にとって非常に深刻な呼吸器感染症です。毎年、日本では約12万~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、そのうち約3万人が入院を必要とする状況が続いているのです。

特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんは重症化しやすく、肺炎や細気管支炎、無呼吸発作、急性脳症などを引き起こすことがあります。現在、RSウイルスに対する特効薬はなく、対症療法しか選択肢がないため、予防がとても重要になってきます。

そこで2024年5月31日から日本でも接種が可能になったのが、妊婦さん向けのRSウイルスワクチン「アブリスボ」です。このワクチンは、妊娠中のお母さんが接種することで、お母さんの体内で作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、生まれてきた赤ちゃんをRSウイルスから守るというコンセプトで開発された母子免疫ワクチンです。

さらに、2026年4月からは定期接種化されることが決定しており、国が「赤ちゃんの命を守るために極めて重要性が高いワクチン」と認めた証でもあります。

RSウイルス感染症とは?赤ちゃんへの影響

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、乳幼児の呼吸器感染症を引き起こす最も重要なウイルスの一つです。

このウイルスは感染力が非常に高く、生後1歳までに50%以上の赤ちゃんが感染し、2歳までにはほぼ100%の子どもが初感染を経験します。特に乳幼児の肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%がRSウイルスによるものとされているのです。

RSウイルス感染症の主な症状

RSウイルスに感染すると、4~5日の潜伏期間の後に以下のような症状が現れます。

  • 発熱
  • 鼻水
  • 喘鳴(ぜいぜい、ヒューヒューという呼吸音)
  • 呼吸困難

大人や年長児であれば、ただの風邪のような症状で済むことが多いのですが、赤ちゃんにうつると重症化するリスクが高まります。

重症化のリスクと入院の実態

約30%の乳幼児では気管支炎や肺炎を起こして重症化し、入院治療が必要となります。

特に新生児や生後6ヶ月未満の乳児では、呼吸が止まってしまう無呼吸発作を起こすことがあり、命に関わる状況になる場合もあるのです。ミルクや食物を摂取することが困難になるため輸液が必要となったり、低酸素血症で酸素吸入が必要になったり、重症の場合には気管内挿管を行い人工呼吸が必要になることもあります。

生後1~2ヶ月の時点でのRSウイルス感染による入院発生率がピークとなるため、生後早期からの予防が極めて重要です。

アブリスボとは?母子免疫ワクチンの仕組み

アブリスボは、ファイザー社が開発した妊婦さん向けのRSウイルスワクチンです。

このワクチンの最大の特徴は「母子免疫」という仕組みを利用している点にあります。妊娠中のお母さんがワクチンを接種すると、お母さんの体内でRSウイルスに対する抗体が作られます。この抗体は胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、生まれてきた赤ちゃんを生後6ヶ月頃までRSウイルス感染症から守ってくれるのです。

接種対象と推奨時期

アブリスボは妊娠24週から36週の間に接種することができます。

特に効果的な接種時期は妊娠28週から36週の間とされています。妊娠28週から32週未満の間に接種すると、生後6ヶ月までの重度のRSウイルス関連下気道感染症に対するワクチンの有効性は88.5%に達します。妊娠32週から36週以下の接種では76.5%、妊娠24週から28週未満では43.7%となっているのです。

接種回数は1回のみで、0.5mLを筋肉注射します。ただし、接種後14日以内に出産した場合、抗体の胎児への移行が十分でない可能性があるため、接種時期の計画は慎重に行う必要があります。

アブリスボの効果はどれくらい?臨床試験データ

アブリスボの有効性は、MATISSE試験という大規模な国際共同第Ⅲ相試験で確認されています。

この研究は日本を含む18か国で行われ、約7,358人の妊婦さんを対象にアブリスボ接種グループと偽薬接種グループに分けて、生まれてくる赤ちゃんがどれくらいRSウイルスに感染するかを調査しました。

重症化予防効果

臨床試験での重症のRSウイルス肺炎に対するワクチンの有効性は以下の通りです。

  • 生後90日:81.8%
  • 生後120日:73.9%
  • 生後150日:70.9%
  • 生後180日:69.4%

これは、ワクチンを接種することで赤ちゃんの重症化リスクを約70~80%減少させることができるという非常に高い効果を示しています。

医療機関受診の減少効果

医療機関の受診を必要とするRSウイルス関連下気道感染症に対しても、生後90日で57.1%、生後180日で51.3%の有効性が確認されています。

つまり、「咳がひどくてRSウイルス感染症かな?」と心配して病院を受診する機会も約半分に減らすことができるのです。今まで治療薬も非常に限られたRSウイルスをここまで予防できるのは、本当に画期的なことだと言えます。

副反応と安全性について

新しいワクチンを接種する際、副反応が気になるのは当然のことです。

MATISSE試験によれば、アブリスボの主な副反応は局所反応が中心で、比較的マイルドなものでした。

主な副反応

  • 接種部位の痛み:約40%
  • 筋肉痛:約26.5%
  • 接種部位の赤み・腫れ:10%未満

全身症状としては筋肉痛が見られる程度で、熱が出ることはあまりありません。他の予防接種と比較しても、わりとマイルドな副反応と言えるでしょう。

早産のリスクについて

アブリスボの安全性を考える上で、早産のリスクについても触れておく必要があります。

他のRSウイルス予防ワクチンの妊婦向け臨床試験で、ワクチン投与グループで早産が懸念され試験が途中で内気にになったものがあります。アブリスボのMATISSE試験では接種前後でワクチン接種グループと偽薬接種グループで早産も含め全身性の症状に有意な差は認められませんでした。

妊娠高血圧症候群のリスクについて

妊娠高血圧症候群の発症リスクが高いと判断された方や、今までに妊娠高血圧症候群と診断された方はアブリスボ接種に注意が必要とされています。接種前に主治医とよく相談することが大切です。

費用と定期接種化について

現在、アブリスボは任意接種として提供されており、費用は全額自己負担となっています。

接種費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり約3万円~4万円程度です。決して安くない金額ですが、赤ちゃんが入院するリスクを大幅に減らせることを考えると、「安心を買う保険」として価値があると言えます。

2026年4月から定期接種化が決定

朗報です。

厚生労働省の専門部会は2025年1月19日、RSウイルス感染症のワクチンについて、2026年4月から定期接種とする案を了承しました。定期接種になると公費で補助されるため、原則無料で接種できるようになります。

これは国が「赤ちゃんの命を守るために極めて重要性が高いワクチン」と認めた証であり、すべての妊婦さんに接種を強く推奨しているということです。

現在妊娠中の方はどうすべき?

「無料になるまで待ちたい」というお気持ちは理解できます。

しかし、公費接種の対象期間は妊娠36週までです。2026年4月1日に37週を超えている方は公費対象となりません。またワクチン接種から赤ちゃんに抗体が届くまでに2週間程度かかると言われています。2026年4月が予定日の方は3月中の自費での接種も是非検討ください。

また、RSウイルスは秋から春にかけて流行します。今接種を見送ると、赤ちゃんは最も免疫力が低く重症化しやすい新生児期に、丸腰の状態でウイルスの流行期を過ごすことになってしまいます。

接種率の現状と課題

国立成育医療研究センターが実施した全国規模のアンケート調査によれば、RSウイルス母子免疫ワクチンの接種率は約11.6%にとどまっています。

この調査は2024年7月から2025年8月に出産した1,279名の女性を対象に行われました。アメリカやイギリスでは接種率が約30~50%と報告されているのに比べ、日本の接種率は著しく低い水準です。

接種しなかった理由

接種しなかった女性(1,131名)に理由を尋ねたところ、以下のような回答が多く見られました。

  • 予防効果を知らなかった:28.9%
  • ワクチンの存在を知らなかった:27.3%
  • 自費での支払額が高すぎる:18.7%

一方で、77.5%の方は「無料であれば接種をする」と回答しており、費用負担が大きな障壁になっていることが分かります。また、接種した女性の87.2%が費用を「やや高い」または「とても高い」と感じていました。

社会経済的格差の問題

調査では、世帯年収や教育歴が高いほど接種率が高い傾向が認められました。

これは、経済的な理由でワクチン接種を諦めざるを得ない方がいることを示しており、赤ちゃんの健康を守る機会に格差が生じている現状は大きな課題です。2026年4月からの定期接種化により、この格差が解消されることが期待されます。

まとめ:赤ちゃんを守るための選択

RSウイルス感染症は、新生児や乳児にとって非常に深刻な呼吸器感染症です。

妊娠中のRSウイルスワクチン「アブリスボ」は、妊娠28週から36週の間に接種することで、生まれてくる赤ちゃんの重症化リスクを約70~80%減少させることができる画期的なワクチンです。副反応も比較的マイルドで、接種部位の痛みや筋肉痛が主なものとなっています。

現在は任意接種で約3万円~4万円の自己負担が必要ですが、2026年4月からは定期接種化され、公費で補助されることが決定しています。これは国が「赤ちゃんの命を守るために極めて重要性が高いワクチン」と認めた証です。

現在妊娠後期の方は、定期接種化を待つのではなく、推奨期間内に接種することをお勧めします。なぜなら、RSウイルスの流行期は秋から春にかけてであり、赤ちゃんが最も免疫力の低い新生児期を丸腰で過ごすリスクを避けるためです。

生まれてすぐの赤ちゃんを守れるのは、お母さんである「あなた」だけです。

接種を迷われている方は、ぜひ一度診察室で医師へご相談ください。赤ちゃんの健やかな未来のために、最善の選択を一緒に考えましょう。

あゆみレディースクリニック高田馬場では、産婦人科専門医による丁寧な診療を行っています。

高田馬場駅から徒歩1分の便利な立地で、WEB予約・LINE予約にも対応しています。生理痛や生理不順、PMS、不正出血など、婦人科の幅広いお悩みに対応しており、患者さまが相談しやすい環境を大切にしています。

「ちょっとした不安」こそ、婦人科に相談していいサインです。まずはお気軽にご相談ください。


著者情報

院長 佐藤 歩美

経歴
横浜市立大学医学部 卒業
NTT東日本関東病院 勤務
総合母子保健センター 愛育病院 勤務
ベビースマイルレディースクリニック有明 副院長などを経て 現在に至る

資格・所属学会
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本周産期・新生児医学会 周産期(母体・胎児)専門医
女性医学学会 女性ヘルスケア専門医
日本性感染症学会 認定医
日本抗加齢医学会 認定医
日本医師会 認定産業医

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