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「生理痛がつらくて、毎月寝込んでしまう・・・」
「経血量が多くて、日常生活に支障が出ている」
こうした悩みを抱えている方は、決して少なくありません。生理痛や過多月経は、我慢するのが当たり前ではなく、適切な治療で改善できる症状です。その選択肢の一つとして注目されているのが「ミレーナ」です。
ミレーナは、子宮内に装着する小さなT字型の器具で、避妊効果だけでなく、生理痛の緩和や経血量の減少にも高い効果が期待できます。一度装着すれば最長5年間効果が持続するため、毎日ピルを飲む手間もなく、長期的な生理トラブルの改善を目指せる治療法として、多くの女性に選ばれています。
ミレーナとは?子宮内システムの仕組み
ミレーナは、正式には「子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)」と呼ばれる医療機器です。子宮内に装着するT字型の器具で、サイズは約3cm程度と非常に小さく、柔らかいシリコン素材でできています。


この器具の中には「レボノルゲストレル」という黄体ホルモンが含まれており、子宮内で持続的に放出されます。このホルモンが子宮内膜に直接作用することで、さまざまな効果を発揮するのです。
ミレーナの主な作用メカニズム
ミレーナから放出される黄体ホルモンは、主に以下の3つの作用を通じて効果を発揮します。
- 子宮内膜を薄く保つ:ホルモンの作用により子宮内膜の増殖が抑えられ、内膜が薄い状態に保たれます
- 子宮頸管粘液の変化:子宮の入口の粘液が濃くなり、精子の侵入を防ぎます
- 排卵への影響:約半数の方で排卵が抑制されることがあります
これらの作用により、受精卵の着床が防がれるため高い避妊効果が得られるとともに、子宮内膜が薄くなることで経血量が減少し、生理痛の原因となる物質(プロスタグランジン)の産生も抑えられるのです。
ミレーナの大きな特徴は、ホルモンが子宮内にのみ作用する「局所作用」である点です。全身に作用する低用量ピルと比べて、血栓症などのリスクが低く、喫煙者や40歳以上の方でも使用できるメリットがあります。
ミレーナの効果:生理痛緩和と避妊効果
ミレーナを装着することで期待できる効果は、大きく分けて2つあります。一つは避妊効果、もう一つは生理に関連する症状の改善効果です。
非常に高い避妊効果
ミレーナの避妊効果は極めて高く、パール指数(100人の女性が1年間使用した場合の妊娠人数)は約0.2とされています。これは、避妊手術に匹敵するレベルの確実性です。
一般的なコンドームのパール指数が2~15、低用量ピルが約0.3~9であることを考えると、ミレーナの避妊効果の高さが分かります。一度装着すれば最長5年間効果が持続するため、毎日の服用や毎回の使用といった手間もなく、「使い方のミス」が起こりにくいのも大きな利点です。
生理痛の緩和と経血量の減少
ミレーナは、月経困難症(生理痛)や過多月経の治療にも非常に有効です。装着後、子宮内膜が薄くなることで、以下のような効果が期待できます。
- 経血量の大幅な減少:装着1年後には約20%の方で月経がほとんど来なくなり、多くの方で経血量が7~8割減少します
- 生理痛の軽減:子宮内膜が薄くなることで、痛みの原因物質の産生が抑えられ、つらい生理痛が和らぎます
- 貧血の改善:経血量が減ることで、過多月経による貧血症状も改善されます
「毎月の生理で寝込んでしまう」「ナプキンを頻繁に替えなければならない」といった悩みを抱えている方にとって、ミレーナは生活の質を大きく改善する選択肢となります。
また、子宮内膜症や子宮腺筋症に伴う症状の軽減効果も認められており、これらの疾患の保存的治療としても使用されています。
ミレーナの装着方法と流れ
ミレーナの装着は、婦人科で医師が行う医療処置です。処置自体は数分で終わりますが、適切なタイミングと手順を踏むことが大切です。
装着前の診察と検査
まず、医師の診察を受け、ミレーナが適応となるかを判断します。この際、以下の検査や確認が行われます。
- 問診:出産経験の有無、既往歴、現在の症状などを確認します
- 超音波検査:子宮の形や位置、筋腫の有無などを確認します
- 性感染症検査:クラミジアや淋病などの感染がないか確認します
これらの検査で問題がなければ、装着日の予約を行います。
装着のタイミング
ミレーナは通常、月経開始日を1日目と数えて、月経終了前後に装着します。このタイミングで装着することで、子宮口が開きやすく、妊娠していないことも確認できるためです。
装着時の処置
装着は内診台で行われ、以下の手順で進みます。
- 子宮の位置と大きさを確認します
- 専用の器具を使って、子宮口からミレーナを挿入します
- 正しい位置に装着されたことを確認します
処置自体は数分で終了しますが、出産経験のない方や子宮口が狭い方の場合、子宮頸管の拡張が必要になることがあります。痛みが心配な方は事前に医師に相談してみるとよいでしょう。
装着後の定期検診
ミレーナ装着後は、定期的な検診が必要です。一般的なスケジュールは以下の通りです。
- 装着1ヵ月後
- 装着3ヵ月後
- 装着6ヵ月後
- 装着1年後
- その後は1年ごと(5年目まで)
定期検診では、ミレーナが正しい位置にあるか、副作用や合併症がないかを確認します。
ミレーナの副作用と注意点
ミレーナは安全性の高い治療法ですが、副作用や注意すべき点もあります。事前に理解しておくことで、安心して使用できます。
装着後に起こりやすい副作用
ミレーナ装着後、特に最初の3~6ヵ月間は、以下のような副作用が起こることがあります。
- 不正出血:月経時期以外の少量の出血が続くことがあります
- 腹痛や腰痛:装着後数日~数週間、軽度の痛みを感じることがあります
- おりものの増加:一時的におりものが増えることがあります
- 月経周期の変化:月経の日数や周期が変わることがあります
これらの症状は、多くの場合、時間の経過とともに落ち着いていきます。ただし、症状が強い場合や長引く場合は、医師に相談することが大切です。
稀に起こる合併症
非常に稀ですが、以下のような合併症が報告されています。
- 自然脱出:ミレーナが自然に抜け落ちることがあります(1年以内の脱出率は約1.7%、筋腫のある方などは注意が必要です)。
- 卵巣嚢胞:一時的に卵巣嚢胞ができることがありますが、一時的な卵巣の腫れであれば問題ありません。
- 骨盤内炎症性疾患:極めて稀ですが、感染症が起こることがあります。そのため、挿入前にクラミジアなどの検査が必要です。
- 子宮穿孔:装着時に子宮壁を傷つけることが稀にあります。
定期検診を受けることで、これらの合併症を早期に発見し、適切に対処することができます。
ミレーナが適さない方
以下のような方は、ミレーナの使用ができない、または慎重な判断が必要です。
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある方
- 性感染症にかかっている方、または過去3ヵ月以内に感染した方
- 子宮内膜炎や卵管炎がある方
- 重度の肝臓病や肝腫瘍がある方
- がんや黄体ホルモン依存性腫瘍がある方
- 子宮の位置や形に異常がある方
これらに該当する場合は、医師とよく相談し、他の治療法を検討することになります。
ミレーナと低用量ピルの違い
生理痛の治療や避妊方法として、ミレーナと低用量ピルはどちらも有効な選択肢ですが、それぞれに特徴があります。

作用の違い
ミレーナは、子宮内にのみホルモンが作用する「局所作用」です。排卵は起こることが多く、全身への影響が少ないのが特徴です。
一方、低用量ピルは、身体全体にホルモンが作用する「全身作用」です。卵巣での排卵を抑制し、全身のホルモンバランスを調整します。
使用方法の違い
ミレーナは一度装着すれば最長5年間効果が持続し、日々の管理が不要です。一方、低用量ピルは毎日決まった時間に服用する必要があり、飲み忘れると効果が低下します。
使用できる人の違い
ミレーナは、喫煙者や40歳以上の方でも使用できます。また、血栓症のリスクが低いため、ピルが使えない方でも選択できることがあります。
低用量ピルは、ヘビースモーカーの方や前兆を伴う片頭痛・脂質異常症など特定の疾患がある方は使用できない場合があります。
費用の違い
ミレーナは、月経困難症や過多月経と診断された場合、保険適用で約3万円程度(3割負担時)で装着できます。避妊目的の場合は自費診療となり、約6-10万円程度かかりますが、5年間使用できるため、長期的にはコストパフォーマンスが高いと言えます。
低用量ピルは、月経困難症などの治療目的であれば保険適用で月1,000-3,000円程度、避妊目的の場合は自費で月2,500-4,000円程度かかります。
ミレーナの費用と保険適用について
ミレーナの費用は、使用目的によって保険適用の有無が異なります。
保険適用となるケース
以下の診断を受けた場合、ミレーナの装着に健康保険が適用されます。
- 月経困難症:つらい生理痛がある場合
- 過多月経:経血量が異常に多い場合
保険適用の場合、3割負担で3万円程度で装着できます。
自費診療となるケース
避妊を主な目的としてミレーナを装着する場合は、自費診療となります。費用はクリニックによって異なりますが、一般的に約6万から10万円程度です。
ただし、5年間使用できることを考えると、1年あたり自費でも12000円~2万円程度となり、長期的には低用量ピルよりもコストパフォーマンスが高くなります。
定期検診の費用
装着後の定期検診は、保険適用の場合は2,000-3,000円程度、自費の場合は3,000-5,000円程度かかります。
あゆみレディースクリニック高田馬場でのミレーナ相談
「ミレーナに興味があるけれど、まずは相談だけでもしたい」
そんな方にとって、通いやすく相談しやすいクリニックを選ぶことは大切です。
あゆみレディースクリニック高田馬場は、高田馬場駅から徒歩1分という便利な立地で、WEB予約やLINE予約にも対応しています。忙しい日々の中でも、受診のハードルを下げてくれる環境が整っています。
女性医師が常駐しており、「相談しやすいかかりつけ産婦人科」を目指しているため、生理痛や過多月経など、デリケートな悩みも安心して相談できます。
ミレーナの装着を検討している方には、症状に合わせて低用量ピル、黄体ホルモン薬、漢方など、複数の選択肢を提案してもらえるため、「自分に合った方法」を一緒に考えていくことができます。
また、必要があれば適切な医療機関への紹介も行っており、まず最初に相談する場所として利用しやすい婦人科です。
まずは、いま困っている症状(いつから、どんな時に、量や痛みの程度)をメモして受診すると、診察がスムーズに進みます。
まとめ:ミレーナで生理の悩みを改善しよう
ミレーナは、避妊効果だけでなく、生理痛の緩和や経血量の減少にも高い効果が期待できる治療法です。
一度装着すれば最長5年間効果が持続し、毎日の服用や毎回の使用といった手間がないため、長期的な生理トラブルの改善を目指す方に適しています。
装着後の数ヵ月間は不正出血などの副作用が起こることもありますが、多くの場合、時間とともに落ち着いていきます。定期検診を受けることで、安全に使用を続けることができます。
「毎月の生理がつらい」「経血量が多くて困っている」という方は、我慢せずに婦人科に相談してみてください。ミレーナは、あなたの生活の質を大きく改善する選択肢となるかもしれません。
あゆみレディースクリニック高田馬場では、女性医師による丁寧な診察と、一人ひとりに合わせた治療提案を行っています。まずは気軽にご相談ください。
著者情報

院長 佐藤 歩美
経歴
横浜市立大学医学部 卒業
NTT東日本関東病院 勤務
総合母子保健センター 愛育病院 勤務
ベビースマイルレディースクリニック有明 副院長などを経て 現在に至る
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本周産期・新生児医学会 周産期(母体・胎児)専門医
女性医学学会 女性ヘルスケア専門医
日本性感染症学会 認定医
日本抗加齢医学会 認定医
日本医師会 認定産業医




